【出産後、初めての対面】⑨

HSP主婦あおこんです。14年前、初めての妊娠で「死産」を体験しました。
その後凸凹一家ではあるものの、今は家族みんなで笑って暮らしています。

小さな小さな私の宝物は、この世に産まれた。産まれたばかりのその心臓は、すでに止まっていた。
先生に預け綺麗にしてもらってから、我が子との正式な対面。今までのテンションから一転して、涙が自然にあふれだしてしまう。
大仕事を終え、やっと逢えたという安堵感、悲しみ、嬉しさ、色んな感情が入り混じる。
産声の聞けない出産になるとは、想像もしていなかった。
見た事のないくらい小さな我が子は、とてもきれいで可愛かった。
世の中に、こんなに愛おしい存在があるなんて、私は今まで知りませんでした。お母さんににしてくれて、ありがとうと改めて思った。
そしてこの子は、自らの命を削って私に何を伝えにきてくれたんだろう?
悲しみだけではない、たくさんの幸せな気持ちを教えてもらえたと思う。
「お疲れ様、2人とも頑張ったね」夫は、一仕事終えた私達に、そう声を掛けてくれた。
身体の負担をかけていると感じているんだろう、寄りそう気持ちが痛いほど伝わる。
つらいのは私だけじゃない。出産の役目が、私だっただけ。
2人の子供には変わりないし、同じ心の痛みを感じられるのは、この人だけ。守れなくてゴメン、その腕に生きているこの子を抱かせてあげたかった。
栄養を届けてくれていた「胎盤」が少し出にくく、出産後にいきんで、胎盤を出すなんてことさえ私は知らなかった。
痛みの中、肩に一本注射をし、更に引き続き点滴も。これからは、頑張った私の身体を労わり、また元の身体へと戻してあげることに集中しなければと思った。
この経験を、大事な人の死を絶対にムダにしたくない。

2時間くらい分娩室で休み、病室へ戻る。お部屋で、一緒に過ごせるかと思ったけど無理だった。
初めての離れ離れの時間、淋しくないかな?私は淋しくてたまらない。
本当はそばにいたい。でも大丈夫、きっと大丈夫。そう言い聞かせる。
私達の前に来てくれた時には、身体に傷がついているからと、全身は見せてくれなかった。だけど触れることはできた。
柔らかすぎる皮ふ、さわるとくっついてくるような、まだ完成されて間もない皮ふだった。
こんなに小さな身体でも、全身はしっかりできていて、まぶたがあり、口も手も指も耳も。夫にそっくりな横顔、肩のラインまで。
愛しいまぎれもなく私たちの子供だった。大きめの指は長く、そこは私にも似ている気がした。耳が少し折れていたのは甥っ子にそっくり。
そして何より、可愛いポーズをとっていたのがとても印象的だった。